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スペシャルインタビュー
教授 村岡 伸輔
製菓衛生師科 副学科長
製菓衛生師
洋菓子製造1級技能士
職業訓練指導員







製菓はひたむきに! 手作りと材料にこだわれ
――食材や調理法などで特に重要な変化はどのようなものでしょうか?
昔はショートケーキ、チーズケーキ、バタークリームケーキなどの重いケーキが主流でした。それが1970年代後半にそれまで一般的ではなかった「ムース」が出てきました。軽くて甘くなくお酒がきいていないムースが、技法として主流になったことが一番大きく変わったことです。
――製菓は流行の流れが速い世界だという印象がありますが。
ホテルの料理長をしていた頃、何か新しいものをと模索していました。でも、出てきませんでした。流行はお菓子屋からではなく、マスコミや女高生からつくられています。例えばティラミスやパンナコッタです。
ティラミスは昔からある、お菓子屋から言えば当たり前のケーキです。でも知らない人には新しく思えます。流行のロールケーキやチョコレートも昔からありますが、ロールケーキは軽くしたり、チョコレートはカカオ豆から自家生産したりと以前からあるものを見直しています。
――製菓業界は、今後どのように変わっていくと思われますか?
最近はアレルギーなどにより食にこだわる人が多くなりました。軽い、甘くない、ヘルシー、オーガニック、ローカロリーがキーワードです。だから、そういったケーキとなるでしょう。カロリー計算はここ4~5年、オーガニックもここ10年内の新しい傾向です。
ただ、ヘルシーは20年以上続いています。軽いケーキはヘルシーだとお客さんは思います。しかし、お酒や生クリームがたっぷり入っているのでそれほどヘルシーではありません。そこで豆乳や豆腐、ハーブなどを使ってイメージ的にヘルシーさを出そうとしました。更に今ではカロリーを数字で表わし始めたところもあります。今後は、オーガニック農家と小麦の仕入れを提携したり、自分で土地を買って原材料からつくったりするところも出てくるでしょう。
――今ではコンビニでもケーキが買える時代になりました。このような変化は製菓の仕事内容に影響がありましたか?
コンビニのスポンジケーキがフワフワでしっとりとした感じがするのは、卵と砂糖と粉に添加物(乳化剤と気泡材)が入っているからです。全部をミキサーで5分ぐらい混ぜると、素人にでも簡単につくれます。
そんなコンビニのケーキとの違いを出すには、手作りで材料にこだわることです。お菓子屋でも大量につくるにはミキサーを使いますが、全部を機械に任せるのではなく、少しでも手作りの部分を多くします。スポンジケーキなら粉を丁寧に混ぜる、バターも溶けたらゆっくり混ぜる。パウンドケーキ、フルーツケーキはミキサーでやりますが、最後は手で混ぜて均一にするといった具合です。材料にもこだわり、ベーキングパウダーや重曹などの添加物を一切使わずにケーキをつくることができるように一生懸命卵を泡立てバターを混ぜます。そんな基本的な技術を見直しています。
――就職先は変わってきましたか?
昔は個人店でしたが、今は有名な大手ケーキ屋への就職希望があります。でも、おいしいからよく売れて店が大きくなってくると、大量生産するために工場生産になります。新しくケーキをつくるのにも企画室で形やデザイン、色合いが決められ、現場の人間は歯車の一つになります。その話をしておくと行くのを辞める学生もいますし、それでも行く学生もいます。
――求められるのは、どのような人材でしょうか?
職場では厳しい上下関係の中で人材を育てています。朝早くから夜遅くまで、サービス残業が当たり前の世界です。それを自分はお金をもらいながら仕事を教わり、修行しているんだと納得できることが必要です。
私は教える時に男女を区別しませんが、歯をくいしばって付いてくるのは女子で、どんどん育ちます。うちで修行して、どんどん上に上がればいいと送り出してやれます。
結局、あいさつ、返事、辛抱ができ、そして前向きな人間が求められます。これは、昔からずっと同じで、今後も変わらないと思います。
――60周年を迎えてのメッセージをお願いいたします。
この学校を通じて私の技術がこの業界のすそ野を広げていければと思って現場から来ました。これからも長い歴史がつくられていくでしょうが、この業界に進んでくれる人のために私もやっています。どんどんチャレンジしに来て下さい。
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