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スペシャルインタビュー
仕事のできる調理師、製菓衛生師
――この60年で食生活は著しく変化しましたが、学生さんにも変化がありますか?
私達の頃はシュークリームがどうやってできるのか、本を見てつくるような好奇心のある学生がいました。家で調理していましたから見よう見まねでどの調味料をどれくらい入れてという発想ができました。ところが、今は家庭で料理をつくらず、できあいか半調理のものを買ってきて仕上げる過程しか見ていません。食事もおかずが数品出てくる家は珍しくなりました。面白いのは腰がある麺を生で堅いと言います。普段はできたてを食べていないから伸びている麺が普通だと思っているのです。
だから食材を洗いもしないし、食材の名前も形も色も分からない。調理師学校に入って初めて知ります。日本料理だったら刺身をひいたり煮物をたいたり、これが普通の食事なのだとわからすのに半年かかりますね。
――そんな今時の学生らには、どういったことから教えていかれるのですか?
鍋に火が入ったら恐がって悲鳴を上げ、包丁を持つのを怖がる学生達が増えてきました。そんな学生達に調理はこうしたら安全で、包丁はこうやって切ると危なくないよということから教えます。食材を洗い、まな板を替えて衛生的にさせます。犬食いする学生にマナーも教えないといけません。また、一人暮らしで集団に慣れない学生もいます。集団に慣れるよう1泊2日の研修で同じ釜の飯を食べて、チームワークができやっとそこからスタートです。グループワークで実習をやり出すと切磋琢磨して雰囲気が変わりますね。
そして、材料をどう扱うとおいしくなるとか、色が良くなるというのを勉強します。先生がつくったものを食べて自分のつくったものと何が違うか考えさせます。味はだいたい変わらないけれど触感が違う、香りが違う。これを勉強してないといけないなぁというところにつながります。どう工夫したらおいしくなるかを考えさせます。
教授 深澤 譲
調理師科・製菓衛生師科 学科長
管理栄養士
専門調理師
介護食士1級
――カリキュラムではどういうことを大事にされていますか?
以前はキャビアもわからない学生達が多かったですが、ちゃんとわかってもらえるように食材は本物を使います。現在食材は流通がよくなり増えてきて、フォアグラ、フカヒレ、フランス産の鶏や鳩も使います。本格的なコース料理を食べたことがない学生が多いので、ホテルのフレンチレストランや中国料理、高級料亭で料理を食べ、雰囲気を実感してもらいます。こういうレストランにはすばらしい奉仕人がいて快適なサービスをします。そんなマナーの体験もします。
また、2年制はフランスに行き、パリ観光とリヨンで実習をしています。今年は6日のうち2日間、調理師学校で現地の食材を使い、フランス人のシェフと調理実習をします。1年だけで卒業するとまだ職業意識に目覚めていないことがありますが、2年制の学生は夢や希望を実現させるために来ているので帰ってくると変わりますね。勤めていても辞めない学生が多いのもそういうことからきているのだと思います。
――調理師科設立時から茶華道のカリキュラムを組み入れられています。時代の変化に関わらず、守っていきたいものがあるのでしょうか?
お品書きを筆で書く、お花をいける。男性でも若い学生でもお茶やお花ができることが大切です。お茶をおいしく飲むために料理を色々考えて茶懐石が進化し、今の日本料理になりました。お茶が日本料理陀寂の原点なので大切にしています。
――調理師として求められるのはどのような人材でしょうか?
企業は昔、調理師学校を出ていなくても雇っていました。しかし、今は採用人数の問題から調理師学校である程度の勉強をして、すぐに現場で使える学生を雇い入れます。でも、基本としては挨拶ができお客さんに不快な思いをさせないこと、衛生面に気を配れることが必要です。またお金の勘定やマネージメント、ワインの知識ぐらいは持っていないと今の時代光り輝くことはできません。代金を気持ちよく払って頂くために料理がおいしいだけではだめなんですね。笑顔や心づかい、ホスピタリティーサービスなどで「また来るよ」と言ってもらうことが大切なんです。
――60周年を迎えてのメッセージをお願いいたします。
毎年の卒業式はとてもいい雰囲気です。感無量で泣き出す男子学生もいました。昨今は女子卒業生の活躍が目覚ましく、板長で活躍している女子卒業生もいるんですよ。卒業生が活躍しているお店があるのはとても嬉しいです。
今後は学校も新しいことを取り入れていきます。卒業生が再び戻ってきて学んだり、現在は資格ブームですので要望に合わせていろいろな資格を取れるようにしたいと思っています。また、学校の教育現場としてのレストランやお店をつくり、実体験としての実習ができたらいいなと思っています。国際交流も中国やフランスだけでなく色々な国と交流したいですね。
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